「全ファミ。」ブログ編

バンゲリングベイにはストーリーと世界観が必須だった

 まず、バンゲリングベイの真実と銘打たれたこちらを読んでほしい。これはバンゲリングベイの設定兼ストーリーである。当時のファミコンソフトとしては極めて細かい設定であり、なおかつ、バンゲリングベイのゲームシステムもしっかりと理由をつけて説明している。これを当時の小学生が読んだとしたら、「何だか難しいそうなことがいっぱい書いてある」という具合に、さぞや圧倒されたことだろう。
 この設定兼ストーリーは、残念ながらバンゲリングベイの取扱説明書には掲載されなかった。攻略本だけのストーリーであって、公式なものではなかったのかもしれない。また、ストーリーがあったとしても、説明書に掲載するには長く難しすぎるという判断もあったことも考えられる。結果的に、バンゲリングベイの説明書には、冒頭のリンク先にある熱いストーリーとは似ても似つかない、単純なものになってしまった。

---------ゲームのせつめいしょ(仮)より、バンゲリングベイの遊びかたを引用------------------

<遊び方>
地球制服をもくろむバンゲリング帝国が、恐るべき最終兵器を開発しつつある、という情報がはいった。これを阻止するために、キミたちは空中で敵の本拠地「バンゲリング湾」に潜入したのだ。ここに点在している6つの秘密工場を、ヘリコプターで探し出し、すべて破壊することがキミの使命だ。

画面の広さはテレビモニター100面分!
ヘリコプターの動きに合わせて16方向にスクロールする画面は、縦横10画面ずつ、合計100画面にもおよびます。上下左右の端はつながっているので、ヘリコプターは、永遠に直進することも可能です。あなたはこの広大なバンゲリング湾に浮かぶ数多くの島々の中から、6つの秘密工場を探し出し、すべての工場を完全に破壊しなければなりません。もちろん敵も必死に抵抗してきます。工場をすべて破壊すると、次のラウンドに進むことができます。


---------------------引用ここまで---------------------

 ただ、説明書に載せるストーリーを簡略化するという当時の判断は、今から思うと間違いだった。バンゲリングベイのゲームシステムや世界観を説明するには、詳細なストーリーが必須だったのだ。

 ここで、バンゲリングベイが何だったのか、シューティングゲーム因数分解で使った要素洗い出し方式を適用してみる。

自機
自機の攻撃方法
自機の防御パターン

敵の攻撃方法
敵の防御パターン
背景(固定)
背景(動きあり)
スクロール
音楽
スコア
ステージの長さ
アイテム

 普通のシューティングであれば、上の要素で十分に説明できてしまう。しかし、バンゲリングベイの場合、上記だけでは足りない。プレイヤーが守らなければならない対象として、空母が存在しているからだ。空母───原子力空母R・レーガンは、単に沈められたらゲームオーバーというだけではない。主人公機のシーアパッチが補給を行う唯一の場所であり、それが沈められたら補給もできなくなり、バンゲリングベイ帝国に打ち勝つことも、戦いの舞台から脱出することもできなくなってしまうのだ。
 シューティングゲームにおいて、世界観やストーリーが細かく用意されているものは数多く存在する。しかし、それがゲームシステムに反映されているかと言えば、必ずしもそうではない。むしろ、ストーリーや世界観が提示されていなくても、ゲームとして成り立つもののほうが多いだろう。しかし、バンゲリングベイはストーリーと世界観がなければ成り立たない。ストーリーと世界観をそのままゲーム化したものだからだ。その詳細な設定の説明がなければ、理由も目的も手段も分からないまま、(空母が攻撃されていることを示す)アラートが出まくる、単に繁忙なだけのゲームになってしまう。
 バンゲリングベイは理にかなったゲームシステムを持つ。しかし、その敷居はとても高かった。現にゲームの発売から20年経った今でも、バンゲリングベイが何なのかわからない人がいる。それゆえ、説明書には、冒頭でリンクしたような熱いストーリーと世界観を掲載し、プレイヤーをゲーム内に引きずり込む必要があったのだ。ただ、ファミコンプレイヤーの多くは取扱説明書を読まない。それゆえ、取扱説明書に掲載したところで、効果はさほど望めなかっただろう。
 結果的に、バンゲリングベイはファミコンで出すには早すぎるゲームだったと言える。リアルな世界観やストーリーを語っても違和感がなく、さらに、操作面でもLRボタンでたやすくヘリコプターの操縦を再現できる、スーパーファミコン以降のハードで出すべきゲームだったのだろう。
 あるいは、20年が経った今だからこそ、DS向けゲームとして発売してほしい。タイトルは『リベンジ オブ バンゲリング』。DSの2画面を使えば、空母が攻撃されていてもすぐにわかるはずだ。守るべきものが見えることにより、単に面倒なだけだった空母との行き来に、新しいゲーム性を見出すこともできることだろう。
 そして、バンゲリング帝国が真にリベンジすべき相手は誰なのか、ハドソン自ら明らかにしてほしいものだ。

---------
もし『バンゲリングベイ』の操作方法が十字キーと合致していたら

コメント

はじめまして。結論から言うと、ケイブンシャ大百科に記載されているストーリーは、ブローダーバンドの公式設定ではありません。
オリジナルのCommodore 64版によれば、ゲームの舞台はカリブ海などではなく、「宇宙の彼方の小さな星」と記されています。
http://www.mobygames.com/game/c64/raid-on-bungeling-bay/cover-art/gameCoverId,35873/

つまり、あのマップが上下左右でループしているのは、「バンゲリング界」などというものではなく、一つの星だからです。

「ゲームにはストーリーや世界観が必要」との主張には賛同いたします。しかし同時に、オリジナル版を無視してストーリーを捏造したケイブンシャの態度に、僕は疑問を感じます。

  • 2008/10/19(日) 23:40:55 |
  • URL |
  • loderun #-
  • [ 編集]

はい、公式ではないだろうなとは思っていました。

でも、やはりストーリーと世界観はほしかったですね。

  • 2008/10/19(日) 23:43:25 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

つまり、ケイブンシャ大百科に記載されているストーリーは二次創作なんですね。
二次創作にも面白い物があるから侮れないというか困るというか…複雑ですね。

  • 2008/10/20(月) 19:12:12 |
  • URL |
  • せんじゅ #TiimW1cM
  • [ 編集]

本編がかっちり固まっていればよかった、という話ですよ。

勝手にストーリーを考えたのかなあ。そこは知りたいところですよね。

  • 2008/10/21(火) 18:43:09 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

あっそうか!
きっとケイブンシャの取材に応じたブローダーバンドの人が、
(結局採用されなかった)自分が考えたバンゲリングベイの設定を
つい熱く語っちゃったんですよ!
それでケイブンシャの人は、それを公式設定だと思って攻略本に載せたんですよ。
ケイブンシャの攻略本に載っているストーリーは、
いかにもアメリカの人が好きそうな内容だし。

  • 2008/10/22(水) 14:34:44 |
  • URL |
  • せんじゅ #TiimW1cM
  • [ 編集]

ハドソン作のファミコンオリジナル設定という線も考えられますが。
当時のハドソンはACやPCからの移植に際して、
子供受けしそうに設定等の改変を行う事が多々ありましたので。
(冒険島やらファザナドゥやらロードランナーやら)

とりあえず、空母の名前に当時まだ在任期間だった
故ロナルド•レーガン大統領の名前が付けられていることから、
少なくとも元祖ブロダーバンドが付けた設定では無いとは思います。
(なんとなくアメリカ人は創作等に有名人の名前を使わないイメージがある)

  • 2008/10/22(水) 20:33:18 |
  • URL |
  • タマネギ炒め #-
  • [ 編集]

あと、バンゲリングベイには「シューティング因数分解」に
当てはまらない要素がもう一つあると思います。

それは、『主役機が「戦闘機」ではなく「爆撃機」である』という事。

確かに「ゼビウス」等、対空兵器と対地兵器を使い分けるゲームはありますが、
メインはあくまで対空兵器の方だったかと思います。
(この辺は日本のSTGがインベーダーに端を発しているからかな?と。)

しかし、バンゲリングベイの場合、主となるゲーム目的は、
「爆撃による全工場の破壊」であり、
対空兵器は所謂サブウェポンの扱いでしかなかったという事。

それは今日までのSTGの変遷を見ても極めて異質であり、
ましてや日本ではTVゲームそのものが黎明期だった当時。
そんな異質な物をSTGとして理解しろという方が無茶な話だったのかと。
(例に漏れず、自分も当時理解出来なかった一人です。)

以前、バンゲリングベイ→シムシティが『逆転の発想』とか書きましたが、
バンゲリングベイそれ自体も既存のSTGからの『逆転の発想』
から生まれたゲームだったのかなぁと、
発売二十数年目にして思った次第であります。長文失礼。

  • 2008/10/22(水) 21:46:24 |
  • URL |
  • タマネギ炒め #-
  • [ 編集]

制作者の方に聞けばいいんでしょうけれども、バンゲリングベイでインタビュー記事は書けないだろうなあ……。ただ、すごく興味がありますよ。

ケイブンシャの人にならインタビューできるかもしれませんが。

  • 2008/10/22(水) 23:33:22 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

いえいえ、コメントはありがたい限りですよ。長文大歓迎です。

しかし、タマネギ炒めさんの意見は慧眼ですよ。
確かにその通りなので、ブログのほうで取り上げて、突き詰めてみますね。

  • 2008/10/22(水) 23:38:29 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

「アメリカでは創作等に有名人の名前を使わない」理由っていうのを
ちょっと昔テレビ番組で聞きました。
アメリカは多民族国家なので、日本と比べると氏名のパターンが膨大過ぎて
”有名人と同じ名前や名字の人間”の密度がとても低く、
その為、日本人に比べると無意識下の「他人の名前や名字に対する注目度」が低くて、
名前だけ出しても観客の注意を惹く事ができないので、
「うちのかみさんの何々が~」とか、「友人の何々が~」とか、
「弁護士の何々が~」の様に、名前よりも
相手の職業や 自分との関係を表す言葉の方が重要なのだそうです。
つまり「使うのを避けている」訳ではなくて、
「使っても効果が無いから使わない事が多い」だけです。
船には名前が付いているものなので、ふと思い出した当時の大統領の名前を
使ったというだけなのではないでしょうか。
日本人なら「あっ有名人と同じ名前だ!」と注目して読むのが止まるかもしれませんが、
アメリカ人なら 単に船の名として流し、その部分に
変に引っかかったりしないで読み進められるのですから、
特に船名にこだわりが無いなら 思い付きで済ますのではないでしょうか。

  • 2008/10/23(木) 21:24:57 |
  • URL |
  • せんじゅ #TiimW1cM
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>せんじゅさん
毎回思いますが、ナイスな観点で物を見る力がありますよね。
そういう能力を、私ももっと磨かないといけませんね。

  • 2008/10/25(土) 01:46:28 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

なかなか唸らせる批評だと思います。
ケイブンシャのストーリーを土台に、例えば映画にしても充分観客の視線に耐えうるものではないか

  • 2009/04/10(金) 22:59:54 |
  • URL |
  • 荻原近江守重秀 #-
  • [ 編集]

ありがとうございます。
今もバンゲリングベイは評価が高くないんですけど、ゲーム性、システムは語れますねえ。

  • 2009/04/11(土) 17:52:05 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

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