シューティングゲームとは何か? の続き。
マトリクス作成の要領で、シューティングの要素を洗い出してみます。ちなみに、マトリクスというのは、ゲームのデバッグにおいて、一つ一つの要素をピックアップしてそれぞれの要素を縦横に配置して表形式にしたものです。競合表とか色々と呼び名があったり、業界によっても意味合いや形式が少しずつ違うんですけど、そこらは適宜に。なにせ、締め切り3日前ですからね、うはは。
まず、シューティングの要素を洗い出します。最初は適当で構いません。足りなければ後で足してけばいいんですからね。むしろ、何度も精査しつつクオリティをあげていくイメージで。
○要素洗い出し
自機
自機の攻撃方法
自機の防御パターン
敵
敵の攻撃方法
敵の防御パターン
背景(固定)
背景(動きあり)
スクロール
音楽
スコア
ステージの長さ
アイテム
で、因数分解したいシューティングをとりあえずあげてみます。
まずは『ツインビー』にしてみましょう。
自機
姿=ハチ風
大きさ=普通
動き=8方向
アイテム取得でスピードアップ
アイテム取得でショット強化
ショットでアイテムを撃つ
自機の攻撃パターン
単発ショット
ツインショット
3Wayショット
分身ショット
合体ショット
地形専用ショット
自機の防御パターン
バリア
分身
……というような感じに、どんどん要素をピックアップしていきます。
それぞれの要素に対し、敵や地形、アイテムなどと組み合わせ、不整合や不正な動作を起こさないか、1つずつチェックしていくわけです。それを見た目で分かりやすく表現すると、マトリクスと呼ばれるような表になるわけです。こんなような感じですね、
敵1 敵2 敵3 敵4 敵5 地形1 地形2 地形3 地形4
単発ショット ○ × ◎ ○ △ - - - ○
ツインショット
3Wayショット
分身ショット
合体ショット
地形専用ショット
で、今どきのシューティングを嗜むシューティングラブ。な方は気づいたかもしれませんが、先ほどの要素洗い出しには重要な要素が抜けてます。そう、「弾」ですね。昨今は弾幕避けがメインのゲームも多いですから、弾も独立した項目として表へ組み込んでよいかと思います。
で、このようにシューティングを因数分解していきますと、デバッグの時にも役立ちますが、それとは別に新しいシューティングの企画を立てる時にも使えたりします。
さきほどの『ツインビー』を見ますと、ショットがたくさんあるものの、それ以外の攻撃方法がないことがわかりますよね。
「んじゃあ斬りを入れてみようか」「敵を捕まえてぶん回してみようか」「パンチを放ってみようか」……いろいろとありますよね。具体的なタイトルが浮かんだ人もいるでしょう。攻撃パターンも「近接」「隣接」「遠距離」などと分けたりすることで、少し浮かびやすくなるかもしれません。
また、敵との相性というものも出てきますから、「不利な敵」や「有利な敵」なども用意すべく、敵のバリエーションを増やす必要も出てくることがわかります。
一見すると単純明快で分かりやすそうなシューティングですが、その実は、かなり細かな組み合わせが存在しており、アイデアはいくらでも眠っているのです。でも、アイデアがいくらよくてもダメで、「爽快感」「没入感」がないとシューティングはやっぱりダメなんですよね。いやぁ、シューティングってのは、やるのも考えるのも難しいですわ。
話があちらこちらに飛んでしまいましたが、シューティングゲームを因数分解することで、そのゲームのテーマが見えてきますし、「足りない部分」「あったら面白そうな部分」も見えてきます。ぜひ色々なタイトルを因数分解してみてください。制作者のみなさんの苦労と、今後のシューティングに望むことが見えてくるかもしれませんよ。
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