「全ファミ。」ブログ編

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

なぜ『ドラゴンクエスト』の勇者は常に前向きなのか?

 竜王と対峙し続ける勇者は常に前向きだ。いつ何時であっても、たとえローラ姫をお姫様だっこしている時であっても前向きである。その一途なまでの前向きさが、彼の超人的な能力を支えている一面もあるのだろう(言いすぎかもしれないが、そう思わせるひたむきさが彼にはある)。
 そのあくまでも前向きな姿勢をたたえ、ロトの子孫モードという遊びかたを考えたことがある。『ドルアーガの塔』や『ワルキューレの冒険』、『ファイナルファンタジー』や『ファミリーボクシング』など、主人公が四方を向くゲームにおいて、前方(正面)を向いた時だけ敵と戦うことができるというものだ。
 たとえば『ドルアーガの塔』。ロトの子孫モードを実行した場合、主人公のギルが正面を向く確率は4分の1である。残りの4分の3は正面を向いておらず、したがって塔にいる間の75%は戦闘できないということになる。
 これはかなりの難業だ。仮に塔内で1時間すごす場合、単純計算で45分は敵から逃げ回らなければならないことになる(ちなみにこの1時間は、現ゲームサイド編集長がサンシャイン60を階段で60階まで登る際にかかった時間である。ドルアーガの塔が60階なことに引っ掛けての挑戦だった)。
 しかも、敵からの逃げ足が速いだけではダメで、敵から攻撃を仕掛けられたときの防御テクニックもなければならない。さらに言えば、「正面向き以外のときは敵と戦わないで済むように」、出来るだけ敵と会わないようにするための立ち回りかたも考えなければならないのだ。
 それを実行するには、卓越した戦略眼がなければならない。まさしく、勇者がゲリラ戦の天才と言われるゆえんである。
 『ファイナルファンタジー』での子孫モードはもっと大変である。
 まず、雑魚戦からして厳しい。『ドルアーガの塔』と違い、こちらはランダムエンカウント。いつ敵に会うのか全く分からないのだ。さらに、正面を向いている時以外のタイミングで敵と戦闘になった場合、必ず逃げなければならない。序盤でさえも苦行である。
 しかし、何とか逃げ切ったとしでも、最初のボスであるガーランドで詰む。彼と戦うためには、彼に「背中を見せて」話しかけねばならないからだ。子孫プレイを行った場合、『ファイナルファンタジー』ではオープニングすら見られないということになる。
 話し掛ける時でさえ方向を指定し、前向きに話す勇者。その前向きさは病的とさえ言える。
 『ファミリーボクシング』の場合は、前述のゲームよりもさらに厳しい。自らの意思と関係なく、1Pプレイヤーが正面以外を勝手に向いてしまうからだ。しかも、それはコントロールすることがほとんどできない。ゆえに、いつ正面以外を向いても大丈夫なように、計算しつくした前向きな攻撃と防御をしなければならないのだ。
 ボクシングとして例えれば、その戦いかたは常にカメラを意識して戦っているということになる。いまだかつて、これほどまでにカメラを意識したボクサーがいただろうか。いるはずがない。
 常に前向きであり、「見られ慣れている」勇者は、パフォーマーの一言では片付けられない、テレビスターの代名詞的な存在たりうるのである。
 このように、世界を変える力を持つ歴代の英雄達でさえ、前向きな勇者を真似るのは極めて困難である。戦闘的にも戦略的にも最高レベルを保っていなければならず、かつ、常にカメラで撮られている(=モニター越しのプレイヤーに見られている)ことを意識し続けなければならないのだ。
 『ドラゴンクエスト』の勇者は、一見、前向きさだけがウリの単純明快な男のように見えるだろう。しかしその実は、勇者である自分を完全に理解し、前向きな戦いかたを熟知した上で実践し、なおかつ四六時中、誰から見ても勇者であり続けるために行動しているのだ。恐るべき自意識である。その自意識はどこから来ているのだろうか。
 堀井雄二氏が『ドラゴンクエスト』を作る際、『ウルティマ』と『ウィザードリィ』を参考にしたのはよく知られている。しかし、勇者の原型はこれまでのところ語られていない。
 ただ、私は思う。この病的なまでの前向きさは、あのゴルゴ13に通じるところがあるのではないだろうか。
 何があっても、たった一人でも、任務を成し遂げる。超人的な肉体能力を持っており、戦術レベル、戦闘レベルがともに優れ、寡黙。目的のためなら王女でさえ切り捨て、しかしいったん守ると決めれば抱きかかえても戦い続ける。睡眠時間が極端に短く、それでいて夜が強いのもよく似ている。
 唯一とも言える違いは、ゴルゴが背後を取らせないことに対し、勇者は誰にでも背後を取らせることにある。
 この違いはただ一つ。ゴルゴは死ぬのを恐れ、勇者は死ぬことを恐れないからである。
 不死たる存在。それゆえに、勇者はかたくなまでに前を向き続けるのだ。

---------
ゲームについて考える。

『ロマサガ2』のひらめきはなぜ電球なのか。
シリアスゲームをシリアスじゃない方向で遊ぶ
なぜ『ドラゴンクエスト』の勇者は常に前向きなのか?
音楽のない音ゲーは可能か?
シューティングゲームとは何か? その2 ~シューティングゲーム因数分解~
脳トレ以外で脳トレする話

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://zenfami.blog91.fc2.com/tb.php/291-e25435c3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。