「全ファミ。」ブログ編

もし『バンゲリングベイ』の操作方法が十字キーと合致していたら

 『バンゲリングベイ』は、発売日直後から大いに売れ、100万本を越えるヒット商品となった。
 シンプルな操作体系と数々の戦略的な要素の組み合わせが子ども達に大いに受けたのだ。
「敵が高射砲を勝手に設置していく」という要素に衝撃を受けた子どもも多かった。 “敵が強くなる”ことが、攻撃力やHPやスピードの増加とイコールだった時代である。子ども達が「大砲が勝手に増えていくのがスゴイ!」と興奮気味に語るのも無理はあるまい。
 当時のゲームメーカーは、大ヒットした『バンゲリングベイ』を模倣する作品を数多く作った。しかし、「敵が高射砲を自動的に設置していく」という要素を真似することはできなかった。『バンゲリングベイ』の広大なマップ──マップ100画面──でなければ、その要素を十分に生かしきることができなかったのだ。もちろん、「マップ100画面」だけを真似しようとしたメーカーもまた失敗に終わる。『バンゲリングベイ』の作者であるウィル・ライトの緻密な計算によってのみ、『バンゲリングベイ』は成り立っていたのだ。

 『バンゲリングベイ』に感銘を受けたのは子ども達だけではなかった。誰あろう、飯野賢治である。
 ウィル・ライトは、「高射砲を自動的に設置する」という部分に可能性を感じていた。と同時に、マップエディタで『バンゲリングベイ』のマップを作成している時、「建物を建て、街を作っていく」アイデアをひらめいたと言われている。しかし、ウィル・ライトが話したマップエディタのエピソードから、飯野賢治もその可能性に着目していたのだ。そして、スーパーファミコンさえ発売されていない1988年、ファミコンで『シム・アクト』を発売する。街づくりとアクションの融合、さらには、『バンゲリングベイ』での音周りの演出を研究し尽くした“音”の演出(※1)は、高い評価を得ていた。売り上げ自体は大ヒットには結びつかなかったものの、このゲームで自信を得た飯野賢治は、街づくりと音という全く異なるジャンルのゲームの先駆者になっていった。
(※1 空母が攻撃されている時のアラート。飯野賢治は、これを「敵の居場所を音で表現する」という解釈でゲームに組み込んでいった)

 一方、「空母を守る」という要素は、必ずしも面白いという評価につながっていなかった。ゲームと言えば攻撃一辺倒の時代であり、「守る」ことの面白さが子ども達に浸透していなかったのだ。それゆえ、『バンゲリングベイ』はあまり売り上げを伸ばせず、実際に遊んだ子ども達の感想も芳しくないものになっていった。
 しかし、『バンゲリングベイ』の発売1年後、奇跡は起こる。
 テレビ番組「ファミっ子大作戦」で、司会の江戸屋小猫が後に“小猫演説”と呼ばれることになる衝撃的な発言を行ったのだ。
「守るということを難しくおもっているようだけど、そんなことはないんですよ。この敵戦艦との戦い! 迫り来る敵戦闘機の大軍! たとえ自分がやられようと空母を守る! 守るべき者を守らずして、何がゲームですか!」
 江戸屋小猫は、まさにその時、『バンゲリングベイ』でピンチに陥っていた。敵戦艦が発進し、味方空母へと迫っていたのだ。また、自機のヘリコプターも大ダメージを受けており、今にも墜落寸前だったのである。しかし、偶然か奇跡か、敵戦艦の上でヘリコプターは爆発し、敵戦艦を沈没させたのだ。
 この奇跡的な光景と小猫演説を目の当たりにした小学生は、番組終了後にショップへ走った。
 小猫演説にザビ家の叫びを感じたガンダム世代の中高生は、番組が終了していないにも関わらずショップへとダッシュした。
 『バンゲリングベイ』を持っている子ども達は、すぐさま『バンゲリングベイ』を遊び始め、さらに、小猫演説の熱さを翌日の学校で話し合った。
 こうして、『バンゲリングベイ』はさらに売り上げを伸ばし、500万本を売り上げるのである。

 このメガヒットを受けて作られたのが、『バンゲリング・ベイ The Next Generation』である。
 『The Next Generation』には、1Pがマイクで味方を呼べたり、2コンで空母を動かせる新システムが採用された。また、ファミコンロッキーで語られた“魔の海域の最終兵器”が実際に採用され、大きな反響を巻き起こしたのだ。
 しかし、セールスは大失敗に終わる。
 十字キーをラジコンの操縦桿に見立てるという、何とも納得しかねる操作方法への変更が原因である。この変更が、前作ファンからの総スカンをくらってしまうのだ。なぜこの操作方法にしたのか、関係者は今もなお口を閉ざしたままである。
 こうして、第二作目は前作の数十分の一という売り上げに留まることになる。

 この歴史的な売り上げ減は“バンゲリング帝国の落日”と呼ばれ、後々に語り継がれていくことになる。


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コメント

システムを対戦型のRTSなんかにして、DS辺りでリメイクすればウケると思うんですけどね。どうでしょう?>高橋名人
当時は取っ付きにくかったラジコン操作も、LRボタンで旋回させれば幾分か解り易いでしょうし。

あと、忘れてましたけど、バンゲリングベイ→シムシティへの発想の繋がりは、
これぞ「逆転の発想」って感じですよね。

  • 2008/09/22(月) 01:05:49 |
  • URL |
  • タマネギ炒め #-
  • [ 編集]

>タマネギ炒めさん
そっすねえ、まさに逆転の発想です。あ、逆転の発想に入れてしまおうかな。

高橋名人への熱い企画出し、ありがとうございまするー。いつか対談する機会があれば、提案して……できたらいいな。

  • 2008/09/22(月) 14:13:53 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

ブローダーバンドソフトの「バンゲリング帝国三部作」は設定的にロードランナー・チョップリフター・バンゲリングベイの順でしたっけ。
それに、後付でハドソンがエピソードゼロとしてボンバーマンを入れたんでしたよね。

むしろ、シリーズ全設定を包括したバンゲリング帝国を舞台にしたFPSなんかが出て欲しいですね。

  • 2008/09/23(火) 14:11:34 |
  • URL |
  • おっさん #-
  • [ 編集]

>三部作
たしかそうだったかと。

じゃあ、ここでタマネギ炒めさんとおやっさん(←愛称です)が提案したゲームの企画を書いていってみましょうかねー。

  • 2008/09/23(火) 19:15:43 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

はじめまして。偶然たどりつきました。

アーケード版の操作方法はご存知ですか? バンゲリングベイはクソゲーなんかじゃないやい、俺はお前の理解者だよ・・・なんてほどに思ってたのに、メーカーのほうから裏切られた、という気分でした・・・

  • 2008/09/23(火) 20:43:07 |
  • URL |
  • NMT8.2i #SJFEB.t.
  • [ 編集]

>アーケード版
はい、知ってますよ。

ですよね。
上のほうのコメントでもありますけど、当時はまだあの操作方法は早すぎましたよね。
バンゲリングベイを広げていくネタを書いていこうかと思ってので、よければアイデア出しを見守ってくださいまし。

  • 2008/09/23(火) 21:05:13 |
  • URL |
  • 支部長 #-
  • [ 編集]

そういえば、かのスペランカーも元々はブロダーバンド社製でしたっけ。
あの地下遺跡はバンゲリング帝国の遺産だったりとかするんでしょうか?

  • 2008/09/24(水) 00:21:27 |
  • URL |
  • タマネギ炒め #-
  • [ 編集]

そう考えると、話がいっきに膨らんできますね。いっそのことふくらませてみますか。

  • 2008/09/24(水) 01:14:37 |
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  • 支部長 #-
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