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「全ファミ。」ブログ編

ゲームのバグだしについて考える。

Wiiのホラーアクション、『零 ~月蝕の仮面~』で、いくつかの不具合が発見されており、任天堂からおわびも出ているようだ。私自身もかつてはゲームのデバッガーだったこともあるので、バグそのものの話ではなく、「ゲームでバグを出す」ことについて書いてみたい。

私が「生涯1デバッガー」宣言したのはもう10年も前の話。ちょうどその頃、3ヶ月間、1人でRPGのデバッグをしていた。労働時間も月に300時間、400時間、その次は517時間である。労働時間はともかく、ゲーム専門デバッグ会社がある今から考えれば、1人でRPGをデバッグするなんてムチャな話だ。ただ、だいたい当時のちっこいゲーム制作会社なんてのはそんなものだった。

ゲームの開発とともにチェックすべき項目が増えてきて、時間も人手も足りない中で、「いかに効率よくバグを見つけるか」ということにだけ頭を絞ることにしていた。具体的には、「ある状態や条件の中で、最もバグの出やすいことをする」のだ。バグというのは、仕様漏れであれプログラミングミスであれ、大半はプログラムの処理が出来ていないことが原因で起こる。プログラムの処理が出来ていないところを探すには、プログラマーなりプランナーなりが考えていないこと(=ユーザーがやらなさそうなこと、できなさそうなこと)からやっていくのが手っ取り早い。誰でも見つけられるのは、ただのテスターにでも出来る。フリーズやリセットやハマリなどの重いバグを大量に出して、高慢ちきな美人ディレクターにギャフンといわせたい完成度を高めたいという必死な思いがあったのだ。

ただ、後から職場に入ってきたデバッガーは、これができないことが多かった。簡単に言えば、フツーにゲームを楽しんじゃう。普通に製品版を遊ぶところからゲームに携わっているから、「バグを出す」という発想自体がそもそも皆無で、あまつさえゲームバランスがどうこうなどと言い出す始末。だから、当時のゲーム業界は、デバッグなんざ学生のあんちゃんを安い給料で使って、最低限のことだけをさせればいいやという風潮がすごくあったと思う。だから、プレステ黎明期のSCEが「フリーのデバッガー募集」なんて広告を出した時に、「お、ようやくデバッガーの重要性に気がついてくれたのか……!」などと感慨深い気持ちになったものである。

閑話休題。
ゲームはプレイヤーが自由に操作できるという性質上、どこで何をされるか分からない。だから、どこであれいつであれ、ユーザーやデバッガーの好みやら趣向やらはいっさい関係なく、その場その時に出来ることはすべてやらなければならない。当時はインパクトの大きいバグ出しから入ったけれども、今ならもっとピンポイントでバグが出やすい環境を構築してのバグ出しが出来ると思う。RPGなら毒を受けつつ歩きつつ、HPが0になったところでダメージゾーンに入り、それと同時に戦闘開始、とかね。でも、こんなことばっか考えながらゲームしていると、いきなり「あ、ここでこうすればバグが出るだろ……やっぱり! だが、最終面直前での仕込みはないだろうUPLさんよう!!」とかいうことになりかねないので、バグ出しに関するスイッチは切っておくようにしておいたりする。

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