モンスターが集団で勇者を襲わない理由

 常に前向きな姿勢で戦うロトの子孫であるが、彼は常にモンスターと1対1で戦っている。

「どうして、モンスターたちは集団でロトの子孫を襲わないのだろう?」

 そんな疑問を抱いたことはないだろうか。モンスターたちが潔いから? いや、そうではない。事実、「ドムドーラの街は魔物たちによって蹂躙された」と、アレフガルドの住人が語っている。
 となると、考えられる理由は一つしかない。ロトの子孫は、モンスターたちに不意打ちのゲリラ戦を仕掛けているのだ。広いフィールドを自由自在に駆け巡り、モンスターが一匹のときを狙うのだろう。これは肉食動物の狩りを想像すると分かりやすい。ロトの子孫は、モンスターの群れの中から、はぐれた個体や弱そうな個体を見つけ出す嗅覚が非常に優れているのだ。古今よりゲリラ戦の基本は少数精鋭による速攻である。知ってか知らずか、ロトの子孫はゲリラ戦の基本を忠実に実行していたわけだ。
 考えてみれば、ロトの子孫には仲間がいない。せいぜい、本人が死んだときに王宮へ運んでくれる運搬人(?)がいる程度だ。そのため、ロトの子孫は必然的に一人で戦い続けなければならず、自然とゲリラ戦に長けていったのだろう。
 しかし、ここで気になるのが竜王側の対応である。竜王がどのように魔物たちを従えているかはおいおい語っていくとして、あれほどの集団でありながら、なぜロトの子孫に対応することができないのだろうか。まず、竜王に適切な軍師がいないことが問題だろう。いくら強大な力を持つ竜王とはいえ、一人で世界征服できないことくらい、すぐ分かろうというものだ。竜王は自らを過信しすぎていたのかもしれない。
 軍師に足る人材が竜王軍で確保できていない可能性もある。だが、竜王軍配下の「魔道士」「大魔道」はれっきとした人間である。彼らを軍のトップに抜擢し、竜王軍を「軍隊」として動かすことができれば、ロトの子孫によるゲリラ作戦に屈することはなかっただろう。たとえ軍師がいないとしても、モンスター側からロトの子孫を発見した際、モンスターたちに「奇襲」させず、竜王軍の本隊へ「報告」することを徹底させておく必要があった。そうすれば、ロトの子孫によるゲリラ戦を最低限にとどめておくことができたはずなのだ。


今回のポイント
・ロトの子孫はゲリラ戦の天才だった
・竜王軍は「軍隊」としての組織ができていなかった

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ラダトーム城近辺の敵が弱い理由

 あなたは、こんなことを思ったことはないだろうか。
「何で竜王は、ロトの子孫に“スライム”で攻撃させるのだろう。ドラゴンあたりをラダトームに送り込めば楽勝なのに」
 確かに、HPが3桁を超えるダースドラゴンを送り込めば、ロトの子孫に万に一つの勝ち目もないだろう。ラダトーム城ですら陥落する可能性がある。にもかかわらず、竜王はそうしていない。なぜだろうか。
 腑に落ちない点は他にもある。弱体化したとはいえ、ラダトームはアレフガルドで最強の兵力を有している。ラダトームを制圧することは、アレフガルドを制圧することとほぼイコールと言っていいはずだ。しかし、竜王は強力な部下たちを送り込まず、申し訳程度にスライムを送り込んでいるにすぎない。 ラダトーム以外に、戦力を割かなければならない“敵”がいるのだろうか。ゴーレムの守る城塞都市メルキドはどうか。メルキドの守りは堅固で、ゴーレムは強力だ。しかし、メルキドは防衛のための守りを行っているだけにすぎない。攻撃を仕掛けてこない以上、竜王軍には脅威ではないはずだ。
 強力な兵力を前線へ出さずに、いったい、竜王は何をしているのか。

 ここで、いったん話を変える。アレフガルドのモンスター分布を思い浮かべてほしい。ラダトーム城の周りにいるのは、スライムやドラキーなどの弱いモンスターだ。アレフガルドを北上し、東方へと分布図を確認していくと、徐々に強いモンスターが増え始める。温泉の町マイラから洞窟を抜け、リムルダールあたりに目をやると、強力なモンスターが数多く配置されていることに気づくはずだ。
 では、逆の視点……竜王の立場でアレフガルド全土の戦力分布を見てみよう。すると面白いことが分かる。竜王は、「竜王の城に近い地域に強いモンスターを配置しているが、遠い地域には弱いモンスターしか送り込んでいない」のだ。一見、ラダトーム城と竜王の城は目と鼻の先にあるように見える。しかし、戦力分布から判断すると、もっとも遠くに位置していることになるのだ。
 ここで最初の問いに戻る。なぜ、竜王はラダトームへ強力な兵力を送り込まないのだろうか。有している兵力や対ラダトームへの戦略から考えても、送り込まない理由はない。だとすれば結論は一つ。「送り込めない」のだ。では、その理由は?


今回のポイント:
何らかの理由により、竜王は遠方へ強力な兵力を差し向けることができない。
ラダトーム城と竜王の城は最も遠い位置関係にある。

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竜王は、まほうのかぎを使いこなせば勝てていた

 テレビ番組を見ていて、こんなことを思ったことはないだろうか。
「何で悪役って、いつも同じパターンでやられるんだろう。過去から学習することはないのかな」
 やられ役の例をあげてみよう。お子様に大人気なテレビアニメ「ポケットモンスター」でおなじみ、ロケット団だ。毎回、彼らはサトシとピカチュウたちの前に、様々なシチュエーションで立ちふさがる。が、毎度のことながら、ピカチュウのでんげきか100万ボルトをくらって敗北するのだ。
 アニメの元になったゲームボーイ版「ポケットモンスター」において、ピカチュウはさほど強力なモンスターにランクづけされていない。各種電気攻撃にしても、対策を練ることは十分に可能だろう。ましてや、ロケット団は何度もサトシ率いるピカチュウたちと戦っているのだ。いい加減、有効な作戦の一つくらい考えられるはずだ。
 ロケット団がどのような考えで作戦を考えているのか、ロケット団と交流のない私には全くわからない(おおかた、見栄えやノリを重視しているのだろうが)。ともかく今のやりかたでは駄目だ。間違いなく勝ち目がない。いきあたりばったりの作戦を捨て、「自分たちの作戦が失敗する」ことを前提に作戦を練り上げ、粘り強く戦い続けるべきだ。

 話は変わる。「キャラクターが勝手に動いてくれたので、話を考えるのは楽でした」という漫画家や小説家は多い。しかし。ロケット団が覚醒した場合、シナリオライターは大変な苦境に立たされる。まず、過去と同じやられパターンが使えなくなる。毎回、ロケット団の“作戦”を考えださねばならず、しかも最後にはサトシたちが勝たなければならないのだ。ただし、この方針転換がうまくいった場合、「ポケットモンスター」は劇的なストーリー展開を迎えることになるだろう。「ドラゴンボール」などの大ヒットアニメに化ける可能性さえもある(もちろん逆もありうる)。この方針転換で大ヒットした暁には、私に金一封をいただきたいものだ。もちろん、失敗した場合は自己責任である。
 ちなみにロケット団は、「ポケットモンスター」で彼ら自身のエンディング曲「前向きロケット団」において、「反省会など5秒で十分」などとたわけたことを歌っている。全くもって嘆かわしい。全国600億人のムサシファンのためにも、猛省を促したいところだ。

 閑話休題。竜王の宿敵であるロトの子孫は、倒しても倒しても甦る。なまじっかの戦いかたで勝つことは不可能だ。サトシたちはレベルアップしていないようだが、ロトの子孫は戦えば戦うだけ強くなっていくのだ。最強最悪の恐るべき敵であることを、竜王は正確に認識しているのだろうか。
実を言えば、竜王がロトの子孫に勝つチャンスはわずかに存在する。正確に言えば、「ロトの子孫を勝たせない」チャンスであるが。
 さて、ここで問題だ。ロトの子孫は “まほうのかぎ”を何個まで持てるだろうか? 答えを聞くまでもなく、その数は“6個”だ。まほうのかぎは魔法の扉を開けるときに使われ、魔法の扉はまほうのかぎでしか開けることができない。
 つまり、チャンスは意外なところにあった。ダンジョンや自分の居城に魔法の扉を7つ設置しておけば、ロトの子孫は魔法の扉をあけることができないのだ。魔法の扉はダンジョンや建物への出入りで閉まるから、どうやってもロトの子孫は7つ目の扉を開けることができない。かくして、ロトの子孫は竜王の城へたどりつくことができず、いずれ竜王が完全にアレフガルドを支配するだろう。
 しかし、竜王は魔法の扉を使いこなしていない。ロトの子孫の戦力分析をしなかったことが原因だろう。戦闘力の高い武闘派ばかりを好み、軍師や諜報員などの人材を使いこなせなかった竜王は、軍のトップに立つべき男ではなかったのかもしれない。

 ・・・だが、気になることが一つある。もしも竜王が居城に魔法の扉を7つ設置していたら、本当にロトの子孫は竜王を倒せないのだろうか? 


今回のポイント
・竜王はロトの子孫の戦力分析を怠っていた。
・ロケット団は反省会が短すぎる。

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竜王とモンスターたちの関係

 前回のポイントは、「何らかの理由により、竜王はラダトームに強力なモンスターたちを送り込めない」ということだった。今回は、その理由を解き明かしていこうと思う。
 まず、アレフガルドのモンスター分布をおさらいしよう。アレフガルドは、一定の法則でモンスターたちが地域を「支配」している。ここでいう支配とは、「モンスターの活動により、一般の人々が通常生活を営めなくなっている」状態を指す。もちろん、支配を命じたのは彼らの親玉である竜王だ。しかし、これまでにも書いてきたとおり、竜王とモンスターたちの連携はうまくできていない。むしろ、「連携という考えかたがない」と言ったほうがしっくりする。そうでなければ、ロトの子孫はああまでゲリラ活動を成功させることができないはずだ。
 モンスター同士の連携はない。しかし、各地域に送り込まれた彼らは、その地に留まり続けている。明らかに、竜王とモンスターたちは「軍隊における指揮官とその配下」という関係ではない。モンスターたちは、どこかしら「気ままに行動している」ように見えるから、強制力のある関係ではないのだろう。では、いったいどのような関係なのか。
 話を少し変えよう。アレフガルドの住人は、竜王を「魔王」と呼んでいる。魔王とは魔、すなわち、悪魔や魔物を統べる王だ。では、もともと悪魔や魔物はどこにいるのか? 少なくとも人間界にはいない。魔界や異界と呼ばれる、人間の住む世界と異なる世界にいるのは確かだ。
 このことから、一つの仮説を立ててみる。竜王は、モンスターたちを魔界から召喚しているのではないだろうか。そして、なんらかの契約を結び、各地域へと送り込むのだ。この仮説であれば、竜王とモンスターとの間にある、緩やかな主従関係が説明可能だ。モンスターたちは召喚されただけに過ぎないから、竜王の命令を絶対的に聞く必要がないというわけだ。では、最初に掲げた問いかけ−ラダトームにモンスターを送り込めない−はどうだろう。人間が悪魔を召喚するには、強い魔力が必要だ。同じことが竜王にも言えるはずだ。強力なモンスターを召喚しても、召喚した時点で魔力を消費してしまい、遠くの地へは送り込めないのではないだろうか。逆に、弱いモンスターは召喚するための魔力が小さいため、遠方へ送り込めるというわけだ。
 この仮説ならば、アレフガルドのモンスター分布を説明することができるかもしれない。しかし、大量のモンスターを召喚して各地へ送り込むためには、極めて大量の魔力が必要となるはずだ。竜王は「魔力」をどこから得て、維持しているのだろうか。


今回のポイント
・竜王は魔力を使ってモンスターたちを召喚し、各地へ送り込んでいるのではないか?
・竜王はどのような方法で魔力を維持しているのか?

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竜王とモンスターたちの関係を維持するモノ

 その4にて、「だいまどうは人間ではないのか?」という指摘があった。その1でも記述したとおり、まどうしやだいまどうは人間である(『ドラゴンクエスト完全ガイドブック』より)。どういった経緯なのかわからないが、アレフガルドの住人だった魔法使いが竜王側についたのだろう。「魔法を効率的に研究するのは、竜王軍に仕えたほうがよい」とでも考えたのかもしれない。
 モンスターと同様、まほうつかいたちも特定の地域にだけ派遣されている。このことから判断すると、まほうつかいもモンスターと同じ契約をしている可能性が高い。悪逆の限りを尽くしていると言われる竜王であるが、自分の側につくものに対しては、人間であっても平等に扱っている。竜王はジェントルマンなのだ。
 翻って、人間界にも魔法使いがいる。あまぐものつえを守っている賢者や、ラダトームにいる魔法使い……通称「光あれじじい」だ。彼らはどんな魔法を研究し、使用しているのだろうか。光あれじじいにいたっては、アレフガルドの過去にも未来にもMP回復魔法を使う者がいないのだ。かなり強力な魔法使いなのだろう。本題とは関係ないが、大いに気になるところだ。
 閑話休題。前回(その4)において、「竜王は魔力を使ってモンスターを召喚し、各地に派遣している」という仮説を立てた。この仮説に基づき、今回は竜王の“魔力の源”を探っていこう。
 魔力として真っ先に思い浮かぶのは、MP、すなわち呪文をとなえるためのマジックポイントだ。MPは精神力に近いパワーであると推測される。MPがゼロになろうとも、一晩グッスリト眠ればHPともども快復する。「さくばんはおたのしみでしたね」と言われても全快だ。しかし、竜王は戦闘中に召喚呪文を使わない。アレフガルドで“召喚呪文”の効果を持つのはパルプンテくらいで、しかも「とてつもなくおそろしいもの(『ドラゴンクエストIII』)」をまれに呼び出す程度にすぎない。昨今おたのしみをしていないから言うわけではないが、竜王やその配下のMPでモンスターを召喚することはないと思われる。
 では、光の玉はどうだろうか。竜王がラダトーム王から奪った光の玉は、大きな力を持っていることは間違いない。が、光の玉はもともとゾーマの力を抑えるためのものだ。モンスターを召喚するために使えるとは考えにくい。
 視点を変え、竜王の行動パターンから考えてみよう。竜王が行っていることといえば、竜王城に閉じこもること(?)と、アレフガルドを支配することだ。まず、閉じこもることで魔力を高めているとは考えにくい。そもそも、竜王自身が前線に出ないのはなぜだろうか。アレフガルドを過去に支配したゾーマや、彼の子孫と同時期に登場するシドーと比べて力は落ちるが、彼自身の召喚したモンスターたちよりも遥かに強力だ。彼自身が前線に出れば、ラダトームなどあっという間に陥落するだろう。にも関らず、竜王は自身の城から出てくることはない。何らかの理由で「出てこられない」と考えるべきだろう。ゆえに、彼はモンスターたちを召喚して戦わせているのだ。
 つまり、こういうことになりそうだ。竜王は、アレフガルドを支配することで魔力を得ている、と。アレフガルドの大地は召喚用の魔力を生み出す。支配はモンスター召喚するための魔力を生み出し、魔力は支配を継続させる力を生む。支配の目的と手段が合致した、理想的な支配形態といえるだろう。しかし、それでも竜王は敗れ去った。アレフガルドだけの支配では召喚用の魔力が足りなかったのだ。ラダトーム攻略はそこそこにして、竜王は海の向こうへ目を向けるべきだったのである
 モンスターを召喚するための魔力の源は、アレフガルドそのものであることが判明した。しかし、竜王がモンスターを召喚しなければならない理由は謎のままだ。なぜ、竜王は最強の兵力である自らを戦場に送り出すことができないのだろうか。

今回のポイント:
・竜王は、自ら戦場に出ることができず、モンスターたちを召喚している
・竜王は、モンスターを召喚するためにアレフガルドを支配し続けている

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